代表者挨拶

代表 小早川 明德

 アメリカと北朝鮮を中心としたニュースに明け暮れる昨今、世界の衆目の注目を避け得た強国が展開する武器無き戦争が、静かな恐怖を拡散して国際社会を翻弄。従来からの世界の開発途上国に限らず、経済的領域を超え治政的混乱に乗じての物資やインフラ提供、資金供与、情報の操作による社会システムの破壊行為などを展開する一方、外交の遮断を強要する事によって特定の国を孤立化に追い込むなど、時代は、我々の想像を遥かに超えるスピードで破壊と創造を繰り返し、軋みを伴う葛藤の中で国際社会の再編が進んでいる。

 我が国の国内に目を向けると、安倍政権は安定政権であるはずの議席を与えられているにも関わらず、信じられないほどの政治家の稚拙さ行政内部のモラル低下と規律の乱れによって野党に意味の無い攻撃の材料を提供し、肝心の政府の重要政策の憲法や教育、働き方、医療、外交など、緊急かつ、極めて重要な案件に手がつかない状態が続く。ここは何としても打開して頂きたいと願うばかりである。この緊張する国際情勢の中、北朝鮮からの誤ったメッセージにも一言の反論も無く、2国間のみの関係で捉え、狭い視野でしか見ることができない、安逸を貪り世界を見ようとしない日本の指導者は、与野党・官僚共に猛省を促したい。

 今年は、明治維新から150年。あの時代を創った、思想を学び国家の未来を憂いた指導者と、燃えるような「志」と未来を夢見た若者が国創りに起ち上がった事を、我々は、歴史に学び行動に移さばねばならない時であろう。起ち上がった若者は、決して、数を頼みにしてはいなかったことを、私達は、肝に命じて、“時代を創る。” ”国を動かす。” という意味を、自分自身に問いかけて見たい。

 時、あたかも、今上天皇の御譲位による新しい“御代” まで、あと、一年を切るまでに迫った今、「平成の天皇の在り方」を、真摯に御自らに問い続けて来られた天皇・皇后両陛下の歩み、その御足跡を、ある新聞が両陛下がお詠みになられた和歌を通じて振り返る特集を連載しているが、その御心が如何に国民の一人一人にまで思いを致されているか、その限りない愛しさ溢れる思いの深さを 言葉の一字一句に感じられ、読み進むことが止まってしまうほどの感動を味わうことが出来る。この幸せが全身を包んでいく様は例えようもなく、皆様にも、是非ご一読いただきたいと思うものである。

 さて、AIE−Kyushu は,変動激しい新しい時代の到来の中で、決意も新たに自らを大きく“変身・脱皮・進化”させながら前に進んで行きたいと思う。私達は、新しい時代が経済界や企業に求める「新しい社会的責任領域の事業化」を謳い中経協から分蘖した。まさに、中経協創立40年の思想・哲学の継承の中で産まれた、新たな使命の明確化であった。その後の、諸事業の展開は、成長期の青年の身体の成長過程に見る、心と身体の成長が伴わない悩みの中にあるといえる。放置すると、青年期特有の精神的葛藤から病に至ることもあり、私たちは、ここで、お互い大いに論議し内省し、組織的価値観の共有と新たな事業の方向性の明確な設定を行いたいと思う。私達に、AIEに、地域に、九州に、経済界に、日本に、「社会は何を望んでいるのか。」。そして、私達は、地域に、企業に、経済界に、日本に「一体、何が出来るのか。」ーという問いに、今一度、本気で向き合いたいと思う。つまり、“組織が、事業が何のために存在するのか” を自らに問うものである。

 私達AIEの事業展開は、常に次なる新しい社会課題を“旬"の時に提示して来るべき時代を示唆し、イベントとして事業化を図り、その活動を日常化する社会的要請に応えて組織化を図り、人創り、地域創り、国創りをミッションとして、その組織的役割を果たそうと取り組んでいる。 それらの事業を進めるにあたって、高いミッションをかかげるAIEとしては、各界のリーダーのご理解を得ながら共鳴の輪を広げ「実現に必要な“ちから”を借りてミッションを果たす。」事を明確に掲げて、AIEの実力と目標とするミッションの高さとの乖離するところは、地域や社会、国の一流の方々の御力を存分に活かして“結果"を出し続けていく事を信条としている経済団体であることのご理解をお願いしたい。

 ここで、もう一つAIEの組織運営との関係性について確認しておきたい極めて重要なことがある。それは、AIEの“企画事業”と“受託事業”の位置付けとその関係性についてである。先に述べたように、AIEのミッションと方向性に合致した事業への取り組みとして「力を借りてミッションを果たす。」事を具体的に事業化しているのが、「受託事業」である。それぞれの組織が其々、AIEのコンセプトに沿った組織目的を持ち、それに相応しい代表のもとに、ボードメンバーを構成し諸事業を展開している。多くは、AIEの自主企画から生まれたものであるが、そのAIEのコンセプトに共鳴し、その旗印のもとに参画して頂いた団体・機関も加わり構成されている。このシステムは、まさに「AIEのコンセプトの組織化」でなくてならない。極めて重要なAIEの中核事業として構成しているのである。一方、「企画事業」は、AIEのコンセプト「“旬” の課題の事業化」で、“経済界・企業に期待される新しい社会的責任の領域”を事業として展開しているものである。ーその結果として、現在、人材・国際・地域・文化・コンテンツの多岐にわたる事業をにAIEとして取り組み、今や、受託事業の展開と企画事業の推進をに連携して取り組む”新たなコラボレーション事業“が成り立っているのである。

 私達は、このような基本的な組織理念を深く理解し、共鳴・共感を拡げながら今季の事業を展開していきたいと念願している。

平成30年5月18日(金)

一般社団法人 地域企業連合会 九州連携機構

会長 小早川 明德

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