代表者挨拶

代表 小早川 明德

令和七年(2025) 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。心安らかなお正月をお迎えいただきましたでしょうか。唯々、新年の日々の始まりが、お一人お一人にとりまして、清しく和やかで心豊かな温もりに満ちたものであってほしいと祈らずにはいれません。

昨年の歳の始まりは、忘れもしません。あのマグニチュード7.6を観測した‘’能登半島地震‘’で衝撃の幕開けとなりました。年末の国会論戦で防災庁の創設が論議されていましたが、あの国民新党から「手取り所得を増やそう。」と選挙公約として提案された‘’103万円の壁‘’の論戦に飲み込まれ渦を起こすまでには至らなかったものの、ことの緊急性から見ても、復興が遅々として進まない能登被災地の窮状からして、「防災交通省」(仮称)として、国交省・復興庁の再編も含め、その対応は急がれ、決して遅滞は許されないものと思っています。

では、神戸淡路大震災、熊本地震と比べても、一体、‘’なぜ、遅々として進まないのか‘’。そこに、関西、九州に比べて、産業基盤の脆弱さに伴う広域的な地域連携の力不足は否めないと思います。関西には、‘’広域連携協議会‘‘、九州には‘’地域戦略会議‘’が共に官民連携‘’共助‘’組織として、「道州制」を下敷に日頃からの積み重ねで有効に機能しているのではないかと考えますが、ここに政治改革、行政再編の必要性が浮き彫りにされていると思います。

それにしても、コロナ災禍後、その混迷を深める国際情勢は、まさに、大国の国際法を蹂躙した‘’倫理なき論理‘’が横行し、不安定な政治情勢と重なり予測不能な事態となりました。我が国では、長年、政治の中枢に距離を置いてきた石破茂内閣が誕生、野に居て発信していた‘’石破流政策論‘’を問うこともなく埋没させ、経験不足からくる国際的距離感の取り方に戸惑いを隠せないスタートとなりました。
立憲民主党は、マスコミの‘’脱自民‘’の報道に相乗りして、結果的には、数十億円の広報費に匹敵する新聞・TVによる‘’他力広報戦略‘’を選択、自民党の総裁選に乗っかった党首選で‘’党名‘’が浸透、アンチ自民の受け皿となりました。もし、国民民主、日本維新が立憲と同じく自民党と同時期に党首選に挑んだとしたら、「今の結果は」と思うと、党首の感性が厳しく問われて然るべきと思いました。
私たちも、いたずらに、身近な、目先の人間関係にエネルギーを消耗することに汲々とせず、リーダーとしての使命を果たすため、日頃から、うちに籠らず、窓を開け、外に出て、季節が移ろう社会の‘’風の匂いを嗅ぐ感性‘‘を養うことに務めたいと改めて思います。街に出たとき、自然に目を向けたとき、鼻先で嗅ぐ微かな風の梵(そよぎ)に季節の変わり目を感じる生活を取り戻したいと、ふと考えさせられました。

また、隣国韓国の尹 錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、唐突な「厳戒令」を布告し、6時間後に、国会で議員全員の反対決議をもって‘’解除‘’を宣告、内乱容疑で出頭命令を受け、事態の進展に目が離せない状況となりました。尹政権における‘’日韓の歴史認識の融和‘’を振り出しに戻してはならないとの思いは届くのでしょうか。一方的歴史認識による不毛の喧伝による国際不信の増幅はごめん被りたいと思いますし、同盟国としての信義に反するものに後戻りしないことを祈りたいと思います。

一方、世界注視の中の米国は、民主党のハリス氏が敗れ、共和党のトランプ氏が圧勝し再選されましたが、日米の同盟関係が、この政権移行期において、早や、軋みを露呈し産業面で表面化、バイデン&トランプの新旧大統領の反対声明を受けた「日鐵・USスチール」問題が急浮上、日米の経営の営業文化の違いが曝け出されました。‘’待ったなし‘’の今、文化価値の違いを明確にした早急な対応が求められています。

今回は、USスチールの首脳や労組幹部の対応まで、日本側の官民上げての体応と伝えられる中、最終局面においては、日鐵のロビー活動にこそ、その成否がかかっていると申しあげたいと思います。とりわけ、日本側のロビイストに、‘’日本の企業文化‘’を語れる人がいることを祈らずには居られません。 いわゆる,‘’老舗‘’と言われる100年企業の存在がダントツ世界一の5万社に迫る我が国の‘’長期的経営体質‘’と、常に問い続けられる‘’創業精神の継承‘’など、日本の地政学的な、その‘’風土と歴史‘’に培われた「日本人の精神文化」を下敷きに、将来の日鉄とUSスチールの‘‘企業像‘’を語れる秀でた人材が見当たらないのが懸念材料ではないかと考えます。

ロビイストの役割は、いわば、‘’根回し‘’であります。‘’根回し‘’を姑息な手段と断じる人もいますが、それは、間違いで、本来‘’根回し‘’は、樹木を移植する際に、枯れずに根付く様に、根切りして‘’根回し‘’のうえ藁で養生して移設することを言い、樹木を守る「自然の法則」、「生命の大道」であります。 国務省の補佐官クラスがお忍びで、日鐵の関係者のところに遊びに来て、大使館や、外務省を慌てさせるくらいの確信的で親密な深いお付き合いがあれば、面白いのですが。それには、日本側に、米国首脳を感動させるほどのブレない生き方、国の内外を直視して内政の目先の駆け引きに翻弄されることなく、常に政治の本質的対応をその重要性に鑑みて、緊急性や優先課題に淡々と立ち向かい、担うべきミッションにひたすら人生を賭けて戦う愚直な政治家がいることが必要だと思います。
先日、報道で知らされました、センセーショナルな「トランプ・孫正義会談」。孫さんのトランプへのアプローチは、オーナー故にできる行動であります。株主総会、取締役会に縛られるサラリーマン社長では望むべくもありません。また、米国の識者の中で囁かれる「契約の白紙撤回・再契約」の提案は、こちら側に有能なロビイストあってのこと。水面下で、‘’白紙撤回後の再契約の確約‘’が約束されない限り、日鐵の方からその様な行動は、リスクが大き過ぎて、採れない戦略であります。

このような政治風土の違いで軋みを増す国際政治、その中にあって、世界が心から歓迎し賛同する我が国が今採るべき国際戦略を明確にしていきたいと思います。これが、私たちが目指す我が国の復権を期した戦略と軌を一にした「文化国家日本」の海外発信であります。
幸い、我が国が、‘’世界のブランド力‘’第一位の評価をいただいたことはご記憶の方も多いと思います。‘’ブランド力‘’とは、我が国の、風土と歴史に培われた、目に見えない数値化されない国家的「文化資産」であります。‘’世界の人びとが地球上で一番憧れを持つ国‘’、なんと素晴らしい、ありがたいことでしょうか。これこそ我が国の価値ある‘’無形の資産‘’と言えましょう。

今ひとつ、我が国が持つ‘’文化資産‘’の一つに、「自然文化」があります。四季に恵まれた我が国は、その美しい自然の季節の営みの美しさ、山川海の地形の美しさの中で、日本人の情緒豊かな感性が育まれ、‘’侘び‘’‘’寂び‘’の日本独特の文化が産まれる「茶華道の世界観」、寺社をはじめとする「庭園文化の宇宙観」につながっていると考えます。その‘’美意識‘’のなかに、永年にわたり、整理整頓、清潔清楚な気性が育まれ、文化的素養をつちかってきた日本人が、今、地球の異常気象、海洋汚染に伴う生態系の劣化や地球温暖化という自然環境の循環性の障害に悩まされています。私たちは、今、‘’地球崩壊の危機‘’とも言われるその環境汚染の克服や、自然の循環性を取り戻すため、再生エネルギーや自然エネルギーの活用に一層の努力が求められているのです。私たちの地球、その自然循環体系の復元のため、世界の‘’ゴミ資源‘’の活用や地球再生を促すあらゆる活動を支援していきたいと考えています。海洋汚染の再生プラントの開発や、その啓発のための宗像国際環境会議の支援にも惜しみない支援を果たしていきたいと思います。

今年は、その日本の大きな文化的資産を、国内外に発信し、具体的な形で社会へ貢献していく一年にしていきたいと願っています。

令和七年(2025) 元旦

一般社団法人 地域企業連合会

会長 小早川 明德

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